バイオグラフィー
1961年6月30日北イタリアリグーリア州サヴォーナ近郊のアルベンガ生まれ。
1980年にシングル「Sarai mia/Mi piaci tu」でデビュー。1981年のサンレモ音楽祭に「Un'isola
alle Hawaii」で参加しますが、選外となりました。続いて同年シングル「Chewing
gum/Esami maturita」を発売。
以後1984年のサンレモでドゥルーピが歌って入賞した「Regalami un sorriso」の共作者として名を連ねるなど作曲家として知られるようになり、ファウスト・レアーリがサンレモ音楽祭で歌って入賞した1987年の「Io
amo」、1988年の「Mi manchi」、同年のミーナのアルバムの「L'ultimo gesto di
un clown」などを作曲(共作も含む)しています。また、アンナ・オクサとファウスト・レアーリがデュエットで歌った「Ti
lascero」が1989年のサンレモで優勝し、作曲家としての地位を確立しました。特にレアーリには信頼されていたようで、アルバムにも数曲作曲しています。歌手としては同年サンレモ音楽祭新人の部に「E
quel giorno non mi perderai più」で参加し、3月にサンレモ・ワールドツアーのメンバーとして来日もしています。いい曲を書きながらもなかなかサンレモではビッグの部に出場できず、翌90年も新人の部で「Vieni
a stare qui」で参加しています。そして初のアルバム「Un cielo che non sai」を発売、「Un
cane sciolto」がイタリア国営放送Raiの同名のテレビ劇のテーマ音楽となりました。そして、1992年にフラヴィア・フォルトゥナートとのデュエット曲「Per
niente al mondo」でついにサンレモのビッグの部に出場を果たし、7位に入賞しました。この年のサンレモの曲ではドゥルーピの歌った「Un
uomo in più」も彼の作曲によるものです。そしてセカンド・アルバム「Tempo
al tempo」を発売。1994年には「Anch'io」がヒットし、サード・アルバム「Qualnque
sia la verita」を発売しました
。
カンタウトーレとして地味ながらも活動を続けているかに見えましたが、しばらくの沈黙の後、作曲家に専念することになり、「トポ・ジージョ」の考案者のマリア・ペレーゴに出会ってからは子供の歌のフェスティヴァル「ゼッキーノ・ドーロ」のために数多くの曲を作曲し、1996年の優勝曲「E
meglio Mario」、1997年の優勝曲「Un bambino terribile」、2位入賞曲「Il catalikammello」などを残しています。しかし、これらの活動は決してポップス界への決別を意味するものではなく、1998年には久々にシングル「Scherzando
scherzando」を発売、旧作からのリミックスや、新曲を加えた4枚目のアルバム「Scherzando
scherzando」を2000年9月に発売。
そして2012年にはデビュー30周年記念アルバム「Fortissimissimo fff」を発売。
アルバム紹介
Franco Fasano 「Fortissimissimo fff」 (2012)
日本にもコアなファンの多いフランコ・ファザーノの2000年「Scherzando
scherzando」以来の待望のアルバムです。といっても、新曲によるアルバムではなく、彼のデビュー30周年を記念して制作された2枚組セルフ・カヴァー・アルバムとなっています。これまでに自身のアルバムの他、多くのアーティストに楽曲を提供しており、本作ではそれらを含めた彼の代表曲が新録によりセルフ・カヴァーされています。
CD1:2はDrupi(ドゥルーピ)が1984年のサンレモ音楽祭で歌った軽快な曲です。スケールの大きいバラード曲3は1989年のサンレモ音楽祭新人の部でFranco自身が歌った曲で、当時「サンレモ・ワールド・ツアー」で来日して日本でも歌ってくれました。4、7、11はFausto
Leali(ファウスト・レアーリ)がサンレモ音楽祭で1987・1988・2009に歌った曲で、Fausto
Lealiには本作に収められている以外にも多くの楽曲を書いています。8は本作の目玉でもある未発表曲で、1995年にMia
Martini(ミア・マルティーニ)に書いたものですが、残念ながら彼女が亡くなり、録音されることはありませんでした。Francoはポップス以外にも子供の音楽フェスティヴァル「Zecchino
d’Oro(ゼッキーノ・ドーロ)」の曲10やアニメの主題歌12なども手がけており、今回は自身で歌っています。
CD2:1はFausto
LealiとAnna
Oxa(アンナ・オクサ)とのデュエットで1989年のサンレモ音楽祭で優勝した曲で、同年のサンレモにはFranco自身も前述のとおり出場しており、共作も含めて3曲を送り出しています。2は2010年に亡くなったジャズ歌手Nicola
Arigliano(ニコラ・アリリアーノ)が2005年のサンレモ音楽祭で歌った曲です。4はデビュー当時の1981年のサンレモ音楽祭で歌った曲。5は1992年のサンレモ音楽祭でFrancoとFlavia
Fortunato(フラヴィア・フォルトゥナート)がデュエットした曲で、2人の息の合った歌唱は当時話題を呼びました。Francoは大御所Mina(ミーナ)にも曲を書いており、本作では6と9を歌っています。9ではオーケストラをバックで、厳かな雰囲気です。7はヴェテラン女性歌手Iva
Zanicchi(イヴァ・ザニッキ)が2009年のサンレモ音楽祭で歌った曲です。11はほぼ同世代のカンタウトーレGatto
Panceri(ガット・パンチェーリ)とのデュエット曲で、ガットとは2000年のアルバムでも別の曲(Ivano Fossatiの「Mio fratello
che guardi il
mondo」)でデュエットしていました。10・11・12の3曲は未発表曲で、特に12はオーケストラも導入された哀愁あるバラードで感動的です。ラストの13は同年代のミュージシャンや高校の同級生がコーラスとして参加しており、まさに彼の記念アルバムにふさわしい曲となっています。
サンレモに多くの曲を送り出していることからもわかるとおり、彼の曲はイタリアらしい美しいメロディーを持つ曲が多く、イタリア・ポップスのファンであれば、彼の歌は聴いたことがないとしても、曲には聴き覚えのあるものもあるかもしれません。10年以上もアルバムが出ていなかっただけに、セルフ・カヴァーとはいえ、2枚組アルバムの発売は実にうれしいニュースでもあり、今後も引き続きカンタウトーレとして活躍し、新作によるアルバムも期待したいところです。
CD 1
1. Incontro 2. Regalami un sorriso 3. E quel giorno non mi perderai
più 4. Io amo 5. Vieni a stare qui 6. Da fratello a fratello 7. Mi manchi 8. La
luna 9. La stessa stella 10. Goccia dopo goccia 11. Una piccola parte di te 12.
Piccoli problemi di cuore 13. La città nell'anima
CD 2
1. Ti lascerò
(Le ultime tre cose) 2. Colpevole 3. Fiore di campo, di primavera 4. Un'isola
alle Hawaii 5. Per niente al mondo 6. Certe cose si fanno 7. Ti voglio senza
amore 8. Dietro lo specchio 9. L'ultimo gesto di un clown 10. L'amore che mi
devi 11. Il giorno che la musica finiì 12. Ora ho capito 13. Noi del '61
(NAR 103122)
Franco Fasano 「Scherzando scherzando」 (2000)
上記のように2000年9月に発売された久々のアルバムです。といっても全曲新曲ではありません。旧作からのそのままの録音がファースト・アルバムから4.「Un
cane sciolto」、セカンドから5.「Loro come fanno」、サードから8.「Quando
saremo pronti a vivere」、10.「Siamo in tanti」の4曲。そして既発表曲の新録がファーストに入っていた9.「L'amico」と、オリジナルではアンナ・オクサとファウスト・レアーリと3人で歌っていた11.「Da
fratello a fratello」のリミックス・ヴァージョンの2曲。そして初めて彼のアルバムに収録となったものは1.「Guida
tu」、タイトル曲2.、3.「Alassio」、6.「Batti cinque(4/4 di silenzio)」、7.「Mio
fratello che guardi il mondo」です。タイトル曲はいかにも彼らしいバラード曲で1998年にシングルとして出ていたそうです。1.3.は明るめの曲。そして最近彼はゼッキーノ・ドーロに曲を数多く提供していることもあって、6.では「Mariele
Ventre」という子供のコーラス隊が参加しています。そして7.はイヴァーノ・フォッサーティの曲のカヴァーでカンタウトーレのガット・パンチェーリとデュエットしています。ファンとしては全曲新曲のアルバムを望みたいところですが、まずは6年ぶりのアルバム発売「めでたしめでたし」といったところでしょう。
1.Guida
tu 2.Scherzando scherzando 3.Alassio 4.Un cane sciolto 5.Loro come fanno 6.Batti
cinque (4/4 di silenzio) 7.Mio fratello che guardi il mondo 8.Quando saremo
pronti a vivere 9.L'amico 10.Siamo in tanti 11.Da fratello a fratello
(Carisch NIKTO NIK CD 02)
Franco Fasano 「Qualnque sia la verita」 (1994)
彼自身のプロデュースによるサード・アルバムです。アレンジはダニーロ・マドーニア。6.「Anch'io」は有名司会者マイク・ボンジョルノの主催するフェスティヴァル・イタリーアノに参加して歌った曲。本作を最後に、全曲新曲によるアルバムはリリースされていません。
1.Cara fretta di andar via 2.La verità siamo noi 3.Il mio posto nel
mondo 4.Non se ne può più 5.Fantasie d'inverno 6.Anch'io 7.Un
giorno di marzo 8.Siamo in tanti 9.Sempre tu, sempre di più 10.Il
pianoto 11.Quando saremo pronti a vivere
(RTI MUSIC RTI 1067-2)
Franco Fasano 「Tempo al tempo」 (1992)
セカンド・アルバムで、サンレモ入賞曲でフラヴィア・フォルトゥナートとデュエットした曲10.「Per
niente al mondo」が収録されています。彼女とは7.「Nei miei pensieri」でもデュエットしています。3.「Niente
e perduto」は同年発売されたマッシモ・ラニエーリののアルバム「Ti penso」のためにファザーノが書いた曲で、「君の家の下の噴水や子供の頃に僕達が遊んだ塀も今は失われてしまっているが、カーテンの向こうに同じ人生があり、目を閉じれば心の底に見えてくる。何も失われていない。」という深い内容の歌。アレンジはルーチォ・ファブリです。
1.Tempo al tempo 2.Dovunque 3.Niente è perduto 4.Loro come fanno 5.Nove
rose 6.Incontro 7.Nei miei pensieri 8.L'ultimo treni 9.Come al solito 10.Per
niente al mondo
(COLUMBIA CDL 471763 2)
Franco Fasano 「Un cielo che non sai」 (1990)
デビュー以来9年目にして初のアルバムです。プロデュースはフィオ・ザノッティ。89年・90サンレモ新人の部で歌った11.「Vieni
a stare qui」、9.「E quel giorno non mi perderai più」のほかアンナ・オクサとフファウスト・レアーリとの共演の5.「Da
fratello a fratello」、TV番組主題曲8.「Un cane sciolto」などが収録されています。1992年に再発された盤では、フラヴィア・フォルトゥナートとのデュエット曲で同年サンレモで入賞した7.「Per
niente al mondo」が追加されています。
1.Come l'anima quando è spogliata 2.Il
cielo è sempre lì 3.Posso 4.Convivere 5.Da fratello a
fratello 6.L'amico 7.Per niente al mondo 8.Un cane sciolto 9.Vieni a stare
qui 10.La donna della mia vita 11..E quel giorno non mi perderai più 12.Un
bimbo che non c'è
(COLUMBIA 466877 9)