バイオグラフィー
1944年10月29日ブレーシャ郊外のNuvolento(ヌヴォレント)生まれ。本名ファウスト・ヴィターレ。
戦後間もない時期だったため、小学校を卒業するとすぐに仕事を探し、ハム・ソーセージなどを売る食料品店の店員として働いていました。わずかな自由時間に古いギターを弾くようになり、1957年、13歳の時両親からプレゼントされた新しいギターで新人コンテストに出場。
1962年、シングル「Un bacio e poi」でレコード・デビュー。翌63年、1930年代の歌「Portami tante rose」をブルース風に歌ったのをはじめ、ビートルズの「Please,please me」、「She loves you」のカヴァーの「Lei ti ama」などを録音、翌64年初のアルバム「Fausto Leali」を発売、66年セカンド・アルバム「Fausto Leali e I Suoi Novelty」を発売しています。
いち早くリヴァプール・サウンドに目をつけた彼はソフトな声をだみ声に変え、67年「A
chi(Hurt・涙の想い)」で年間ベスト第1位になるヒットを飛ばしました。他にプロコル・ハルムの「青い影(A
whiter shade of pale)」のカヴァーの「Senza luce」やがヒット、翌68年にはサンレモ音楽祭に初出場し、「Deborah(デボラー)」で入賞。他にも「Senza
di te」や「Portami con te」、ラテンの「Angeli negri(Angelitos negros・黒い天使)」などがヒットしています。続いて69年「Un'ora
fa(過ぎ去ったひととき)」、70年自作曲「Hippy(ヒッピー)」でサンレモに連続入賞、72年の「L'uomo
e il cane(男と犬)」は入賞は逃しましたが、73年にも「La bandiera di sole(太陽の旗)」でサンレモで入賞しています。75年のアルバム「Amore
dolce,amore amaro,amore mio(愛の物語)」はプログレッシヴ・ロック・ファンにはお馴染のイル・ヴォーロが全面協力した名作で、翌年ヒットしたウンベルト・トッツィ作曲の「Io
camminerò(明日への道)」を加えて日本でもLPが発売され、それに続いて1977年のアルバム「Leapoli」も日本発売されました。
以後81年にアルバム「Un attimo di blu」、しばしのブランクの後87年にサンレモに参加して入賞した「Io
amo」を収録したベスト・アルバム「Io amo e gli altri successi」を発売。サンレモには翌88年にも「Mi
manchi」で出場して入賞、89年にはアンナ・オクサとのデュエット曲「Ti lascerò」で初優勝を遂げています。以後もコンスタントにアルバムをリリースし、97年にもサンレモに「Non
ami che te」で出場しています。
オリジナルのほか、外国曲のスタンダードやナポレターナ、ブルースのカヴァーなど幅広いレパートリーで活躍中。
アルバム紹介
Fauso Leali 「Non solo Leali」(2016)
2009年の「Una piccola parte di
te」以来9年ぶりとなるアルバムで、タイトル「レアーリひとりじゃない」の意からもわかるように、全編デュエットにより構成されています。目玉は9月に先行シングルとして発売された1で、Mina(ミーナ)とのデュエット。この曲はイギリスのR&Bグループ、Blue(ブルー)が歌った「Breathe
Easy」(Lee Ryan作曲)のイタリア語版で、イタリア語詞はTiziano
Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)が書いています。その他の曲は男性歌手とデュエットしていますが、「デュエット相手の持ち歌」、「他の歌手によって歌われた歌」、「レアーリ自身がヒットさせた歌」の3パターンがあります。「デュエット相手の持ち歌」としては美しいオーケストラをバックにオリジナルのFrancesco
De Gregori(フランチェスコ・デ・グリゴーリ)と歌う2や、デュエット相手のAlex
Britti(アレックス・ブリッティ)のギター演奏も聴きどころの3など。「他の歌手によって歌われた歌」としては、Gianni
Morandi(ジァンニ・モランデイ)とLucio Dalla(ルーチォ・ダッラ)による大ヒット曲4をレアーリとは古くから親交があるUmberto
Tozzi(ウンベルト・トッツィ)とデュエットしたり、1981年に交通事故で亡くなったRino Gaetano(リーノ・ガエターノ)のヒット曲6をEnrico
Ruggeri(エンリコ・ルッジェーリ)と歌っています。「レアーリ自身がヒットさせた歌」としては、ナポレターナをリバイバルヒットさせた8を若手ラッパーのClementino(クレメンティーノ)と、そしてラストの10はミーナもレパートリーにした美しいバラード曲で、Claudio
Baglioni(クラウディオ・バリオーニ)と歌っています。収録時間は短めですが、意外な曲を意外な人と歌っており、近年流行りのデュエットによる企画盤の中でもおススメできる内容となっています。
1.A chi mi dice (feat. Mina) 2.Sempre e per sempre (feat. Francesco De Gregori)
3.Lo zingaro felice (feat. Alex Britti) 4.Vita (feat. Umberto Tozzi) 5.Crazy
(feat. Renzo Arbore) 6.Gianna (feat. Enrico Ruggeri) 7.Quando ami una donna
(feat. Tony Hadley) 8.Vierno (feat. Clementino) 9.Io che non vivo (senza te)
(feat. Massimo Ranieri) 10.Solo lei (feat. Claudio Baglioni) (Universal Music
0602557208078)
Fauso Leali 「Leali Live」 (1999)
長いキャリアを持つファウスト・レアーリの意外にも初めてのライヴ盤。テオ・テオコーリ(2000年のサンレモにもアシスタントとして出ていた声帯模写をする歌手)が参加した1.「Le
donne allungano la vita」と15.「Un lungo addio」のみスタジオ録音の新曲です。ライヴは「Tutti
i successi」とあるように、3.「Ti lascerò」、5.「Io camminerò(明日への道)」、9.「Un'ora
fa(過ぎ去ったひととき)」、11.「Angeli negri(黒い天使)」などヒット曲はほとんどすべて演奏されており、ファンはもちろん、初めてという方にもおすすめです。私が特に気に入っているのはミーナも歌った1974年の6.「Solo lei(彼女だけを)」(ミーナの場合は女性なので「Solo
lui(彼だけを)」)。スケールの大きなバラードです。
1.Le donne allungano la vita (con la
partecipazione di teo teocoli) 2.Ti lascerò 3.Mi manchi 4.Io camminerò 5.Solo
lei 6.La campagna in città 7.A chi (hurt) 8.Un'ora fa 9.Portami tante
rose 10.Angeli negri (angelitos negros) 11.Deborah 12.Io
amo 13.Malafemmena 14.Un lungo addio
Fauso Leali 「Leali」 (1989)
上述の通り1989年のサンレモ音楽祭でアンナ・オクサとのデュエットによる6.「Ti
lascerò」で優勝し、本作を発売しました。オープニング曲はダニーロ・アメーリオとレアーリとの共作曲「D'ora in poi」。また、「Stand by me」のイタリア語によるカヴァー5.「Pregherò」もヒットし、その後もよく歌っています。この頃のレアーリのアルバムにはフランコ・ファザーノがよく曲を書いており、3.「Ora no」、4.「Un desiderio in due」、6.、10.「Quando
ci sei tu」が彼による(共作)もので、本作もファザーノが書いたスケールの大きいバラード形の曲が中心です。
1.D'ora in poi 2.Non so dire no 3.Ora no
4.Un desiderio in due
5.Pregherò
6.Ti lascerò
7.Due scorpioni
8.Ti canterò
9.Stringimi forte
10.Quando ci sei tu
(CBS 465057 2)
Fauso Leali 「Fausto Leali」 (1987)
レアーリのベスト盤は数種出ていますが、こちらはCGDから1987年に発売された盤。この年CBSからも「Io
amo e gli altri successi」という新曲「Io amo」と「Notte d'amore」を含んだベスト盤が出ており、そちらを紹介すべきだったかもしれないのですが、若い頃のレアーリの写真がジャケットに使われている本作を選んでみました。懐かしのヒット曲1.「A
chi(涙の想い)」に始まり、3.「Angeli negri(黒い天使)」、5.「Deborah(デボラー)」のほか、ウンベルト・トッツィ作曲でトッツィ自身やミーナも歌っている名曲9.「Io
camminerò(明日への道)」、イル・ヴォーロと共演した2.「Il volo della
farfalla(蝶の飛翔)」、11.「Amore dolce,amore amaro,amore mio(愛の物語)」、アルバム「Leapoli」からナポレターナの12.「Vierno(冬)」などが収録されており、とても内容の濃いベスト・アルバムとなっています。
(CGD CDLSM 100010)