バイオグラフィー
1952年3月4日北イタリアの工業都市トリノ生まれ。8歳年上の兄は1965年に「I
tuoi occhi verdi(君の緑の瞳)」をヒットさせた歌手のFranco Tozzi(フランコ・トッツィ)です。その影響で幼い頃から音楽に親しみ、やがてギターの演奏を始めます。ギタリストとして様々な歌手の演奏活動・レコーディング等に関わっているうちに、ルーチォ・バッティスティに見出され、バッティスティのレコード会社「ヌメロ・ウーノ」に所属したグループ、Data(ダータ)に加入し、1974年に1枚のアルバムを残しています。また、La
Strana Societa(ストラーナ・ソチエタ)というグループにも所属し、1974年の「Fai
tornare il sole」など数枚のアルバムを発表しました。また、1975年にヒットしたウェスとドリ・ゲッツィが歌った曲「Un
corpo e un'anima」の4人の共作者としてクレジットされ、作曲家として知られるようになります。
1976年、当時主にマルチェッラやジァンニ・ベッラのプロデューサー・作詞家として活躍していたジァンカルロ・ビガッツィがトッツィの才能に着目し、ついに歌手デビューを果たしました。そしてデビュー・アルバム「Donna
amante mia」を発売。このアルバムからマルチェッラ、リッカルド・フォッリ、ファウスト・レアーリが数曲取り上げており、トッツィはカンタウトーレとして華々しいデビューを飾りました。
1977年セカンド・アルバム「...È nell'aria...ti amo」を発表、翌1978年にかけてこのアルバムから「Ti
amo」がイタリアのみならずヨーロッパ中で大ヒット、「ミスター・ティ・アーモ」と呼ばれ、スターとしての地位を確立しました。
1978年のサード・アルバム「Tu」からもタイトル曲「Tu(ふたりの午後)」がヒット。1979年のアルバム「Gloria」からもタイトル曲「Gloria(グロリア)」がヒット、この曲は82年にアメリカの女性歌手ローラ・ブラニガンに取り上げられ、全米ヒット・チャート1位となりました。日本でも独自に編集されたベスト・アルバムがLPとして発売されました。
以後「Tozzi」、「In concerto(2枚組ライヴ・アルバム)」(以上1980)、「Notte
rosa」(1981)、「Eva」(1982)、「Hurrah」(1984)、「Invisibile」(1987)とアルバムを発売し、いずれも好調な売上を記録しています。1987年はジァンニ・モランディ、エンリコ・ルッジェーリとのトリオで初めてサンレモ音楽祭に出場し、「Si può dare di più」を歌って優勝しました。そしてその「Si
può dare di più」」の共作者のひとりで、同じくビガッツィに見出されたラフとデュエットした「Gente di mare」が大ヒットし、翌88年ロンドン・ロイヤルアルバート・ホールでコンサートを行い、ラフもゲスト出演しています。その時の模様はライヴ盤「Umberto
Tozzi-Live Royal Albert Hall」として発売されています。
1991年「Gli altri siamo noi」でソロとして初めてサンレモに出場、同名のアルバムとベストアルバム「Le mie canzoni(ベスト盤)」をリリース。以後「Equivocando」(1994)、「Il grido」(1996)、「Aria & cielo」(1997)、「Bagaglio a mano(セルフ・カヴァー・アルバム)」(1999)とリリースしています。デビュー当時のアコースティックなポップスから、ディスコ調の「Gloria」などを経て、現在はロック・シンガーに変貌を遂げ、2000年も「Un'altra vita」でサンレモに出場するなど元気に活躍しています。
アルバム紹介
Umberto Tozzi e Marco Masini 「Tozzi Masini」 (2006)
ウンベルト・トッツィとマルコ・マズィーニとの関係は、かつてトッツィのバック・ミュージシャンとしてマズィーニが活動していたことに遡りますが、2006年に再びこの2人によるプロジェクトが誕生。本作を発表しました。
1〜3がデュエットによる新曲、4がマズィーニのヒット曲を2人でデュエット、5以降はお互いの曲をカヴァーし合うというものとなっています。2006年はイタリアではカヴァー・アルバムが流行りましたが、これもその1枚といえるでしょう。
シングルカットもされたタイトル曲1は、トッツィ、マズィーニの2人と元Oro（オーロ)のメンバーで本作でも演奏面などで協力しているMario
Manzani(マリオ・マンザーニ)との共作曲。ハウス調のリズムに民族楽器のバグパイプが加わる異色のアレンジの曲で、2人ともしゃがれた声ながらもそれぞれの特徴を生かしたヴォーカルの掛け合いとなっています。2はと3はミディアム・テンポではありますが、3などはイタリアらしい叙情感も持っています。4はエレキギターのイントロからはオリジナルを曲を想像できないぐらい別のアレンジとなっており、オリジナルとは甲乙付け難い仕上がりとなっています。5以降はお互いのヒット曲をカヴァーし合ったもので、もともとタイプが似ている2人だけに、さほど新鮮さは感じられませんが、アレンジに工夫が見られ、オリジナルを知っている者には楽しめる内容となっています。
1.Come si fa 2.Anima italiana 3.Arrivederci per lei 4.T'innamorerai 5.Perché
lo fai 6. Ti vorrei 7. Tu 8. Gli altri siamo noi 9.Disperato 10.Cenerentola
innamorata 11.Ti amo 12.Gloria 13.Ci vorrebbe il mare 14.L'uomo volante
15.Io camminerò 16.Qualcosa qualcuno
(MBO 3006987)
Umberto Tozzi 「Un'altra vita」 (2000)
昨年(1999年)新曲とかつてのヒット曲の新録音によるアルバムを発売したばかりのウンベルト・トッツィですが、サンレモ出場後新譜を発売しました。サンレモではタイトル曲3.「Un'altra
vita」が最下位となってしまいましたが、それはちょっとかわいそう。メロディーのきれいないい曲です。本作は5.「Vagabondi」、8.「Scivolando」あたりは彼の得意なロックですが、その他は6.「Torna
settembre」、とてもシブーイ感じのする10.「Mai dire mai」など落ち着いた曲も多く、バランスのとれた曲構成となっています。
1.Io e te naturalmente 2.Thank you very much 3.Un'altra vita 4.Rosa di
frontiera 5.Vagabondi 6.Torna settembre 7.Arcobaleno 8.Scivolando 9.Per
chi 10.Mai dire mai
(CGD eastwest 8573-81975-2)
Umberto Tozzi 「Live Royal Albert Hall」 (1988)
1988年2月21日に行われたロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ・アルバム。1.のみスタジオ録音で、前作の「Immensamente」のダンス・リミックス・ヴァージョンです。このコンサートにはラフも帯同していて、彼のヒット曲9.「Self
control」をソロで、10.「Gente di mare」と、ビガッツィ、トッツィ、ラフの共作によるこの年のサンレモ優勝曲11.「Si può dare di più」をトッツィとのデュエットで歌っています。また、後にデビューするマルコ・マズィーニがキーボードとしてバックを務め、ライヴのためのアレンジ等を行っています。なお、彼のライヴ盤ＣＤとしては1980年の「In
concerto」がありますが、どちらかといえばこちらの方がおすすめかも... なお、彼のライヴ録音は他に19
91・94年発売の2種類のライヴ・ビデオがあります。
1.Immensamente(Remix dance) 2.Se non avessi te 3.Dimmi di no 4.Ti amo 5.Medley(Qualcosa
qualcuno〜Donna amante mia〜Dimentica dimentica〜Io camminero〜Eva〜Tu sei di
me) 6.Notte rosa 7.Stella stai 8.Tu 9.Self control(Raf) 10.Gente di mare(con
Raf) 11.Si può dare di più(con Raf) 12.Gloria (CGD CDS 6100)
Umberto Tozzi 「Invisibile」 (1987)
ＣＤとして日本盤が出た唯一のアルバムです。この年彼はラフとのデュエット「Gente di mare」をヒットさせていますが、このアルバムでもラフはアレンジやコーラスで協力しています。1.「Se non
avessi te(君がいなかったら)」、5.「Immensamente(はかり知れないほど)」がヒットしました。タイトル曲6.「Invisibile(愛が見えなくて)」も珍しくジャズィーなナンバーでよい曲です。今ほどロック色が濃くないアルバムです。
1.È la verita 2.Canzoni solitarie 3.Al sud 4.Eclissi 5.Immensamente
6.Invisibile 7.Un amore difficile 8.Io no
(日本盤 キング K32Y 2151・廃盤)
Umberto Tozzi 「In concerto」（1980）
ウンベルト・トッツィ初のライヴ・アルバムで、２枚組。デビュー当時はアコースティックな路線でしたが、1979年の「Tu」以後はポップ・ロック系の歌手へと変貌しました。本作は1980年の発売であり、彼の人気絶頂期に当たるポップな曲を中心に歌っていた時期の録音です。曲はDisc1では1.デビュー当時のヒット曲「Io
camminerò」で幕を明けます。3.「Dimmi di no」、4.「Qualcosa qualcuno」といったポップ系のヒット曲や、感動のバラード曲6.「Dimentica
dimentica」、大ヒット曲の7.「Ti amo」、8.「Tu」と続きます。Disc2では1.「Fermati allo stop」で比較的静かに始まり、ポップ系のヒット曲5.「Stella
stai」、7.「Gloria」で幕を閉じます。全体的にはまだそれほどロック色は強くなく、「Gloria」などのポップ系の曲が印象に残ります。音質もまずまずで、飽きの来ないライヴ･アルバムだと思います。
CD1
1.Io camminerò 2.Alleluia se 3.Dimmi di no 4.Qualcosa qualcuno 5.Calma
6.Dimentica dimentica 7.Ti amo
CD2
1.Tu 2.Fermati allo stop 3.Gabbie 4.A cosa servono le mani 5.Perdendo 6.Anna
7.Stella stai
(CGD 2292 44841-2)
Umberto Tozzi 「...È nell'aria...ti amo」 (1977)
上述のように、このアルバムから1.「Ti amo(ティ・アーモ)」がヨーロッパ中で大ヒットし、作曲家としてだけでなく、歌手としてのトッツィの名を世に知らしめました。6.「Se
tu mi aiuterai」はマルチェッラが取り上げ、国内発売されたＬＰにも収録されました。エンディング10.のバラード曲「Dimentica
dimentica」も印象的。この曲は1980年のトッツィ初のライヴ・アルバム「In concerto」でも歌ってくれています。このアルバムの次に発売された「Tu」からはポップなサウンドに変わり、1979年の大ヒット曲「Gloria」へと続きます。
1.Ti amo 2.Signora America 3.Tu piccolo 4.Love 5.Sciabada 6.Se tu mi aiuterai
7.Gesù che prendi il tram 8.Il mistero di Lisa 9.E se non canto
10.Dimentica dimentica
(CGD 9031-70656-2)
Umberto Tozzi 「Donna amante mia」 （1976）
ジァンカルロ・ビガッツィのプロデュースによるデビュー・アルバムです。このアルバムからは3.「Io
camminerò(明日への道)」がファウスト・レアーリに取り上げられヒット、同年ミーナもカヴァーしました。5.「Mi manca(炎の瞳)」もマルチェッラとリッカルド・フォッリによって取り上げられました。タイトル曲1.「Donna amante mia(愛するひとに)」や9.「Tu
sei di me」など一度メロディーを聴いたら耳から離れないバラード・ナンバーが印象的です。
1.Donna amante mia 2.Ripensando all freccia del sud 3.Io camminerò
4.Il marinaio delle stelle 5.Mi manca 6.Angela 7.Per darti amore 8.Scegli
9.Tu sei di me
(CGD CDS 6087)
