バイオグラフィー
イヴァーノ・フォッサーティやフランチェスコ・デグレゴーリなど芸術性が高いカンタウトーレの作品を積極的に取り上げている知性的な女性歌手フィオレッラ・マンノイア。
1954年4月4日ローマ生まれ。ほどなくしてミラノに転住しました。1968年、カストロカーロ新人コンテストにアドリアーノ・チェレンターノの「Un
bimbo sul leone」で出場、翌69年最初のシングル「Mi piace quel ragazzo lì」をCarischから発売、続いて「Gente
quà gente là」を発売しました。71年シングル「Ore sei」、72年「Ma
quale sentimento」、そして最初のアルバム「Mannoia,Foresi & Co」を発売。以後74〜78年にかけてシングル盤をぽつぽつ出しましたが大ヒットには至りませんでした。
1980年ピエランジェロ・ベルトーリとデュエットした「Il pescatore」がちょっとしたヒットとなって日の目を見るようになり、翌81年初めてサンレモ音楽祭に出場し「Caffè
nero bollente」を歌って入賞。83年アルバム「Fiorella Mannoia」を発売、翌84年「Come
si cambia」がヒットしました。この頃からカンタウトーレの作品を取り上げるようになり、デ・グレゴーリの「Alice」、リッカルド・コッチァンテの「Margherita」、クラウディオ・バリオーニの「Amore bello」等を録音しています。85年アルバム「Premiatissima '84」、「Momento
delicato」を出し、ウンベルト・ビンディとのデュエット「Un giorno,un mese,un anno」、マリオ・ラヴェツィとのデュエット「Se rinasco」を録音しています。86年アルバム「Fiorella
Mannoia」、87年「Tre anni di successi(ベスト盤)」を発売。同年サンレモ音楽祭にエンリコ・ルッジェーリの作品「Quello che le donne non dicono」で出場して入賞。この曲は日本でも愛好者の間で人気を集めています。翌88年イヴァーノ・フォッサーティ作品の「Le
notti di maggio」で再びサンレモで入賞。同年発売したアルバム「Canzoni per parlare」以後「Di
terra e di vento」(1989)、「I treni a vapore」(1992)、「Le
canzoni(再録を含むベスト盤)」、「Gente comune」(1994)、「Belle speranze」「(1997)、「Certe
piccole voci(ライヴ盤)」(1999)…とアルバムを発売していますが、フォッサーティ、ルッジェーリ、コッチァンテなどカンタウトーレ達が書いたオリジナル作品を歌っており、いずれの作品も高い評価を受けています。
アルバム紹介
Fiorella Mannoia 「A te」(2013)
2012年に急逝したカンタウトーレのLuico Dalla(ルーチォ・ダッラ)へのトリビュート・アルバム。全編オーケストラをバックにしたものですが、指揮はPepppe
Vessicchio(ペッペ・ヴェッシッキォ)、Pippo Caruso(ピッポ・カルーゾ)、Stefano
Zavattoni(ステファノ・ツァヴァットーニ)、Marcello Sirignano(マルチェッロ・シリニャーノ)、Paolo
Buonvino(パオロ・ボンヴィーノ)と錚々たる顔ぶれが務めています。また、8ではAlessandra Amoroso(アレッサンドラ・アモローゾ)、10ではRon(ロン)とデュエットしています。
DVDはそのオーケストラをバックにしたスタジオ・ライブとなっており、こちらも見応えのある内容となっています。
CD
1.Stella di mare 2.Se io fossi un angelo 3.Chissà se lo sai 4.La
casa in riva al mare 5.Anna e Marco 6.Milano 7.Caruso 8.La sera dei
miracoli 9.Cara 10.Felicita 11.Sulla rotta di Cristoforo Colombo
(OYÀ SONY MUSIC
88883794802)
Fiorella Mannoia 「Sud il Tour」(2012)
2012年に発売されたアルバム「Sud」を中心としたツアーからのライヴ録音で、2枚組CDにDVDを付けた計3枚からなるアルバムです。
スタジオ盤の「Sud」と同様にパーカッショニストであるCarlo Di
Francesco(カルロ・ディ・フランチェスコ)がプロデュースを担当しています。バンド及びコーラスは12人編成で、それに加えてブラジル人のダンサーなども加わり、パフォーマンスを披露しています。また、「Sud」にもゲスト参加したラッパーのFrankie
HI-NRG MC(フランキー・ハイ-エナジー MC)もゲストとして参加しています。
「Sud」からの曲のほか、CD1オープニング曲「I treni a
vapore」、大ヒット曲のCD2 7「Quello che le donne non dicono」などもアレンジを変えて演奏されています。CD2
11「Cara」は2012年3月に急逝したカンタウトーレ、Lucio
Dalla(ルーチォ・ダッラ)の作品です。ラストの「Buontempo」(Ivano Fossati作品)では再びFrankie HI-NRG MCが加わり、最高潮のノリで閉幕します。
DVDは、CDとほぼ同内容のミラノの劇場でのライヴ映像のほか、「Sud」制作にあたってのドキュメンタリー映像が45分以上にわたって収められており、「Sud」と合わせて購入されることをおススメします。
CD 1
1.I treni a vapore 2.Io non ho paura 3.Se il diluvio scende 4.Dal
tuo sentire al mio pensare 5.Sally 6.Se solo mi guardassi 7.I dubbi
dell'amore 8.Luce 9.In viaggio 10.L'amore si odia
CD 2
1.Quando l'angelo
vola 2.Quelli che benpensano (feat. Frankie HI-NRG MC) 3.Non e un film (feat.
Frankie HI-NRG MC) 4.Via con me 5.Portami via 6.Oh che sara (Oh que
sera) 7.Quello che le donne non dicono 8.Mio fratello che guardi il
mondo 9.Convivere 10.Il cielo d'Irlanda 11.Cara 12.Buontempo (feat. Frankie
HI-NRG MC)
DVD
1.Il concerto 2.Il viaggio,dal disco al tour 3.Auguri
Fiorella!(Bonus track)
(OYÀ SONY MUSIC 88725452092)
Fiorella Mannoia 「Sud」(2012)
「Terroni」という書籍からインスピレーションを受け、イタリア及び世界各地の「南部」へのオマージュ作品です。プロデュースはパーカッショニストであるCarlo
Di
Francesco(カルロ・ディ・フランチェスコ)。本作では初めてFiorella自身が1・3・4・5・7・8・11の作詞、12の訳詞をしています。また、アフリカのミュージシャンも随所に参加し、エスニック色の濃いアルバムとなっています。
1はブルキナファソの第5代大統領Thomas Sankara(トーマス・サンカラ)に捧げられた曲です。2はカンタウトーレのBungaro(ブンガロ)の作品で、本作からの最初のシングル曲です。希望と勇気の叫びをテーマとし、Bungaroらしいドラマティックな曲です。Bungaroはは2・4・5・7・11の5曲と、本作で最も多くの曲を提供しています。3は映画音楽でお馴染みのPaolo
Buonvino(パオロ・ブォンヴィーノ)とカンタウトーレのIvano
Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)が作曲し、Fiorella自身が詞を書いたもので、バラードです。続く4・5・6もバラードで、6は古くから親交があるカンタウトーレのLuca
Barbarossa(ルーカ・バルバロッサ)の作品です。9はラップのFrankie HI-NRG MC(フランキー・ハイ-エナジー
MC)をゲストに迎えた曲で、本作の中では異色の作品といえます。10はナポリへのオマージュで、女優Titina De
Filippo(ティティーナ・デ・フィリッポ、1898-1963)の詞をもとに作られた曲で、スペインのフラメンコ・ミュージシャンであるギタリストのNino
JoseleとパーカッショニストのIsrael ’Pirana Suarezが参加しています。ラストの12はAstor
Piazzolla(アストル・ピアソラ)の曲にFiorella自身がイタリア語詞を書いたもので、Gianni
Iorio(ジァンニ・イオリオ)のバンドネオンが印象的です。
アルバム全体を通して落ち着いた雰囲気の曲が多く、個人的にはFiorella
Mannoiaの傑作アルバムの3本の指に入ると思います。
1.Quando l'angelo vola 2.Io non ho
paura 3.Se solo mi guardassi 4.Dal tuo sentire al mio pensare 5.In
viaggio 6.Luce 7.Se il diluvio scende 8.Portami via 9.Non e un film (feat.
Frankie HI-NRG MC) 10.Quanne vuo bene 11.ConVivere 12.Torno al Sud (Vuelvo al
Sur)
(OYÀ SONY MUSIC 8697997732)
Fiorella Mannoia 「Il movimento del dare」(2008)
ここのところライヴ盤やブラジルカヴァーものと続いたため、スタジオ録音のオリジナル・アルバムとしては2001年の「Fragile」以来、実に7年ぶり、ファン待望の作品です。プロデューサーは今回もPiero
Fabrizi(ピエロ・ファブリーツィ)。1はイタリア・ロック界のスーパースター、Luciano Ligabue(ルチァーノ・リガブーエ)の作詞・作曲によるもので、サビに移る転調が印象的なスロー・ナンバーです。2はIvano Fossati(イヴァーノ・フォッサーティ)による曲で、ミディアム・テンポながら落ち着いた雰囲気の曲です。3のアルバムタイトル曲はFranco Battiato(フランコ・バッティアート)とManlio
Sgalambro(マンリオ・ズガランブロ)との共作曲で、バッティアートとのデュエット曲。異色のデュエットです。Piero Fabriziによるミディア・ムテンポの4に続き、5はTiziano
Ferro(ティツィアーノ・フェッロ)とのデュエット曲で、作詞・作曲ももちろん彼の手によるもの。若手のティツィアーノもマンノイアのアルバムにフォッサーティやバッティアートの曲と肩を並べたことで、カンタウトーレとして認められたともいえるでしょう。ストリングスが導入されて哀愁を帯びているバラード曲の6はBungaro(ブンガロ)とPino Romanelli(ピーノ・ロマネッリ)との共作曲です。ブンガロは2004年のアルバム「L'attesa」が素晴らしかっただけに、歌手としての復活も望まれます。7はJovanotti(ジォヴァノッティ)の曲で、聴いてすぐに彼の作品だろうと想像がつく、ファンキーなメロディーです。9はPino Daniele(ピーノ・ダニエーレ)の曲で、牧歌的な雰囲気に包まれています。ラストはPiero Fabriziによる幻想的なバラードで締めくくられています。
曲数10曲とコンパクトにまとめられおり、豪華なソング・ライター陣に恵まれて充実感溢れる作品となっています。
1.Io posso dire la mia sugli uomini 2.La bella strada 3.Il movimento del
dare 4.Primavera 5.Il re di chi ama troppo 6.Fino a che non finisce 7.Io
cosa farò 8.Cuore di pace 9.Capelli rossi 10.Il sogno di Ali
(SONY BMG 88697405552)
Pino Daniele / Francesco De Gregori / Fiorella Mannoia / Ron 「In tour」(PAL DVD)(2002)
ピーノ・ダニエーレ、フランチェスコ・デ・グリゴーリ、ロンという3人の大物カンタウトーレと、多くのカンタウトーレ作品を取上げている女性歌手フィオレッラ・マンノイアの4人によるコンサート・ツアー・ライヴを収録したDVD。2002年7月1日のマントヴァを皮切りに9月21日のヴェローナの円形劇場アレーナまで、全27都市でコンサートが行われました。
本作のプロデュースはロン。4人による共演は本編「Concerto」に収録されており、ロンの代表曲1「Una
città per cantare」がオープニングとなっています。みんなそれぞれ楽器を担当したり、デュエットがあったりと盛り沢山です。演奏はそれぞれのバンドが担当しているようです。「Single
sets」はマンノイアの1987年サンレモ入賞曲3.「Quello che le donne non dicono」など、それぞれがソロで歌ったものを収録しています。他に「Back
stage」として、今回のツアーのために4人が初めて集まった時の模様や、リハーサル風景、ビアージォ・アントナッチやリガブーエ、映画監督のナンニ・モレッティなどの友人達が激励に来た様子などが収められています。
これだけのビッグな顔ぶれによるコンサートを映像で見られる機会は滅多になく、しかも演奏されている曲がお馴染みの曲ばかりで、楽しめる内容となっています。幅広い年齢層に支持されたこのコンサート、ほとんどが野外で行われたようで、ツアーで回った色々な会場の映像が目まぐるしく変わり、それはそれで楽しいのですが、ひとつの会場でやったものをじっくりと見たいという意見もあるかもしれません。
なお、同時に2枚組のCDも発売されており、収録曲はCDの方が少し多めとなっているようです。
Concerto
1.Una città per cantare 2.I treni a vapore 3.Alice 4.Quando 5.Non sono una cantautore 6.Generale 7.. Napule e 8.Non abbiam bisogno di parole 9.La storia 10.Chissa se lo sai 11.Oh che sara 12.Niente da capire 13.Piazza grande 14.Il tempo non torna più 15.Vorrei incontrarti fra cent'anni 16.Viva l'italia 17.Bufalo bill 18.Je so' pazzo
Single sets
1.Un cielo senza nuvole 2.Joe temerario 3.Quello che le donne non dicono 4.La donna cannone
(BMG 74321985049)
Fiorella Mannoia 「Fragile」 (2001)
ジャケット写真がちょっと怖いです… プロデュースは今回もPiero Fabriziが務めています。タイトル曲1.、2「Occhi
neri」、5「L'Assenza」、8「L'altra metà」、9「L'uomo
di polvere」が共作も含め彼の曲。3「Fotogramma(Quelli siamo noi)」がイヴァーノ・フォッサーティの作曲。他にカヴァーとして4.パオロ・コンテの」Come
mi vuoi?」、フランチェスコ・デ・グレゴーリの6「L'uccisione di Babbo Natale」、ファブリツィオ・デ・アンドレの7「Il Pescatore」を歌っています。6.ではデ・グレゴーリ自身もゲスト参加しました。Fabriziの曲が多いことによる飽きやすさを、カヴァー曲で補っている感があります。以前のように、エンリコ・ルッジェーリやマッシモ・ブボラなど、数名のカンタウトーレによるオリジナル曲で固められていたアルバムの方が完成度は高いと思います。
1.Fragile 2.Occhi neri 3.Fotogramma 4.Come mi vuoi? 5.L'assenza 6.L'uccisione
di Babbo Natale 7.Il pescatore 8.L'altra metà 9.L'uomo di polvere
(COLUMBIA DURINDANA COL 499894 2)
Fiorella Mannoia 「Certe piccole voci」 (1999)
マンノイア初のライヴ・アルバムで2枚組。冒頭のみスタジオ録音のイヴァーノ・フォッサーティ作曲による新曲「L'amore con l'amore
si paga」です。ライヴのほうは98年のツアーからのもので、歌われている曲はほとんどが87年以降のアルバムからのカンタウトーレ作品で、「Quello
che le donne non dicono」、「Le notti di maggio」、「I treni
a vapore」など代表曲を約110分にわたりたっぷりと聴かせてくれます。
CD 1
1.L'amore con l'amore si paga 2.Sally 3.I treni a vapore 4.Il fiume e la nebbia 5.Non sono un cantautore 6.Cuore di cane 7.Normandia 8.Belle speranze 9.Piano solo 10.Oh che sarà` 11.Il culo del mondo 12.Caterina e il coraggio 13.Passalento
CD 2
1.Le notti di Maggio 2.Sorvolando Eilat 3.Lunaspina 4.La stagione dell'amore 5.Il tempo non torna più` 6.I dubbi dell'amore 7.I muscoli del capitano 8.Ninetto e la colonia 9.Il cielo d'Irlanda 10.Crazy boy 11.Quello che le donne non dicono 12.Ascolta l'infinito
(Harpo HRP 491852 2)
Fiorella Mannoia 「I treni a vapore」 (1992)
プロデュース・アレンジは前作と同じ。イヴァーノ・フォッサーティ作曲のタイトル曲1はフォッサーティ自身もライヴで歌っているほか、ミア・マルティーニもカヴァーしています。フォッサーティ、デ・グレゴーリのほかソングライター陣にはエウジェニオ・フィナルディ、マッシモ・ブボラが加わりました。7「Inevitabilmente」はナンニ・モレッティ監督の映画「親愛なる日記」に挿入され、作曲者のルッジェーリ自身も99年に録音しています。
1.I treni a vapore 2.Tutti cercano qualcosa 3.Il cielo d'Irlanda 4.1991
l'amore per amore 5 I venti del cuore 6.Sull'orlo 7.Inevitabilmente (Lettera
dal carcere) 8.Piccola serenata diurna 9.I treni a vapore (Reprise)
(EPIC EPC 471187 2)
Fiorella Mannoia 「Di terra e di vento」 (1989)
前作と同様プロデュースはピエロ・ファブリーツィ、アレンジはフィオ・ヅァノッティによる格調高いアルバム。曲はフォッサーティ、デ・グレゴーリ、ルッジェーリ、コッチァンテが書いています。低い声のマンノイアには本当にこうしたカンタウトーレ達の作品が合っていると思います。2.はブラジルのシコ・ブアルキの名曲「O
que serò」をフォッサーティが訳詞した「Oh che sarà」。
1.Baia senza vento 2.Oh che sarà 3.Cuore di cane 4.La giostra della
memoria 5.Le canzoni 6.Gli amanti 7.Ascolta l'infinito 8.Lunaspina
(EPIC 466136 2)
Fiorella Mannoia 「Canzoni per parlare」 (1988)
上述の通り88年のサンレモ音楽祭にイヴァーノ・フォッサーティ作詞・作曲の1「Le notti di maggio」で出場し、このアルバムを発売しました。プロデュースはピエロ・ファブリーツィ、アレンジはフィオ・ヅァノッティ。フォッサーティ、プロデュースのファブリーツィのほかコッチァンテ、ルッジェーリ、ロンら現代イタリアを代表するカンタウトーレが曲を書いている素晴らしい作品です。エンディングに1987年サンレモ入賞曲の10「Quello
che le donne non dicono」が収録されており、この曲のみマリオ・ラヴェッツィのプロデュース、チェルソ・ヴァッリのアレンジです。
1.Le notti di maggio 2.I dubbi dell'amore 3.I miei amici stanno al bar
4.La vita che vuoi 5.Fino a fermarmi 6.Il tempo non torna più 7.Non
arrendersi 8.La lettera che non scriverò mai 9.Poverangelo 10.Quello
che le donne non dicono (DDD 460801 2)