バイオグラフィー
1955年3月19日ナポリ生まれ。ギターを独学で学び、1970年代にロック、ブルースに魅了されました。ナポリに米軍基地があることが、ブルースが入る要素だったわけです。
1977年、デビュー・アルバム「Terra mia」を発表。大ヒットには至りませんでしたが、ナポレターナとブルースを融合させ、「ナポレターナのニュー・ウェーヴ」などと言われた彼独特の音楽は、イタリアン・ポップス界に大きな影響を与えました。当初はナポリ方言のみ、その後はナポリ方言または英語のみで歌い、イタリア標準語では歌っていませんでしたが、90年代初頭あたりからイタリア語でも歌い出しました。
彼はロック、ジャズ、ワールド・ミュージック等の様々なフェスティヴァルやコンサートに招待され、ナポリが生んだ世界的なミュージシャンとして活躍していましたが、2015年1月4日に逝去しました。
ディスコグラフィー
「Terra mia」(1977)、「Pino Daniele」(1979)、「Nero a meta」(1980)、「Vai mo」(1981)、「Bella 'mbriana」(1982)、「Musicante」(1984)、「Live scio」(1984)、「Ferryboat」(1985)、「Bonne soiree」(1987)、「Schizzechea with love」(1988)、「Mascalzone latino」(1989)、「Un uomo in blues」(1991)、「Sotto 'o sole」(1991)、「Che Dio ti benedica」(1993)、「E sona mo'」(1993)、「Non calpestare i fiori nel deserto」(1995)、「Dimmi cosa succede sulla terra」(1997)、「Yes I know ma way」(1998・ベスト盤)、「Come un gelato all'equatore」(1999)、「Medina」(2001)、「Live concerto」(2002)
アルバム紹介
Pino Daniele 「Live Concerto」(2002)
15曲収録のライヴ盤です。2001年の「Medina Tour」の模様を収録したもので、6月から12月にかけてのタオルミーナ、ベネヴェント、カリアリ、マチェラータといった都市でのコンサートからピック・アップされたものとなっています。4.「Bel
orizzonte」、12.「Un cielo senza nuvole」の2曲は新曲ですが、他は1.「Terra
mia 」、7.「Napule e 」などの初期の作品から最新作の15.「Via medina」まで代表曲が収録されています。初期の曲はギター弾き語りのアコースティック・ナンバーが中心ですが、8.「Quanno
chiove」などはオリジナルとは異なり、後半は英語の歌詞で女性ヴォーカルが歌っているなどの変化が見られます。最新曲などはスタジオ盤と同様に女性のミュージシャンを従えており、自身の音楽性を貫きつつも時代の流れに乗っているという感じがします。
(RCA BMG 74321912922)
Pino Daniele / Francesco De Gregori / Fiorella Mannoia / Ron 「In tour」(PAL DVD)(2002)
ピーノ・ダニエーレ、フランチェスコ・デ・グリゴーリ、ロンという3人の大物カンタウトーレと、多くのカンタウトーレ作品を取上げている女性歌手フィオレッラ・マンノイアの4人によるコンサート・ツアー・ライヴを収録したDVD。2002年7月1日のマントヴァを皮切りに9月21日のヴェローナの円形劇場アレーナまで、全27都市でコンサートが行われました。
本作のプロデュースはロン。4人による共演は本編「Concerto」に収録されており、ロンの代表曲1.「Una città per cantare」がオープニングとなっています。みんなそれぞれ楽器を担当したり、デュエットがあったりと盛り沢山です。演奏はそれぞれのバンドが担当しているようです。「Single sets」はマンノイアの1987年サンレモ入賞曲3.「Quello che le donne non dicono」など、それぞれがソロで歌ったものを収録しています。他に「Back stage」として、今回のツアーのために4人が初めて集まった時の模様や、リハーサル風景、ビアージォ・アントナッチやリガブーエ、映画監督のナンニ・モレッティなどの友人達が激励に来た様子などが収められています。
これだけのビッグな顔ぶれによるコンサートを映像で見られる機会は滅多になく、しかも演奏されている曲がお馴染みの曲ばかりで、楽しめる内容となっています。幅広い年齢層に支持されたこのコンサート、ほとんどが野外で行われたようで、ツアーで回った色々な会場の映像が目まぐるしく変わり、それはそれで楽しいのですが、ひとつの会場でやったものをじっくりと見たいという意見もあるかもしれません。
なお、同時に2枚組のCDも発売されており、収録曲はCDの方が少し多めとなっているようです。
Concerto
1.Una città per cantare 2.I treni a vapore 3.Alice 4.Quando 5.Non sono una cantautore 6.Generale 7.. Napule e 8.Non abbiam bisogno di parole 9.La storia 10.Chissà se lo sai 11.Oh che sara 12.Niente da capire 13.Piazza grande 14.Il tempo non torna più 15.Vorrei incontrarti fra cent'anni 16.Viva l'italia 17.Bufalo bill 18.Je so' pazzo
Single sets
1.Un cielo senza nuvole 2.Joe temerario 3.Quello che le donne non dicono 4.La donna cannone
(BMG 74321985049)
Pino Daniele 「Medina」 (2001)
2001年のイタリアン・ポップス界は「エスニックもの」が流行りなのではないかといわれていましたが、ピーノ・ダニエーレの本作もアラブ風でした。1.「Via
Medina」ではいきなり“Haman haman”(アマナ・マン)とアルジェリアのライ・ミュージックなどで聴いたことがあるアラビア語のフレーズで始まります。Lofti
Bushnaqという人物がゲスト参加。2.「Evviva ´o ´rre」はゲストの99 Posseのラップが挿入されています。Mia
Cooperという女性Vo.が印象的な3.「Tempo di cambiare」、4.「Sara」あたりはピーノのギターが美しい比較的落ち着いた曲となっています。落ち着いた感じの5.「Senza
´e te」とピーノのギターとアラブの雰囲気との融合が面白い8.「Acqua passata」はナポリ方言で書かれています。再びアラブ全開の9.「Galby」ではFaudelというアラブ音楽の歌手がゲスト参加しています。そしてラストの12.「Africa
a Africa e」ではアフリカ・ポップス界のみならず世界的に知られる歌手サリフ・ケイタがゲスト参加しています。元々ピーノが生まれたナポリなど南イタリアはアラブの影響を大きく受けており、それらは建築、食文化、音楽などさまざまなものに表れています。今回のピーノの作品も決して“流行”としてのエスニック化ではない点が、本作の完成度からも感じ取れます。
(RCA 74321835222)
Pino Daniele 「E sona mo'」(1993)
1984年の「Live scio」以来のライヴ・アルバムです。ピーノのギターと女性パーカッショニストとのデュオにコンピュータ・プログラミングされた打ち込みを加えただけのシンプルな編成ですが、そんなことを感じさせない熱気あるライヴで、1993年5月22・23日に8万人を動員したというカーヴァ・デイ・ティッレーニでの録音。同時にビデオ・クリップを追加したビデオ・テープも発売されました。「Je
sto vicino a te」、「Napule e」、「Quanno chiove」などファンにとってはたまらない選曲です。チック・コリアと共作した「Sicily」も歌っています。
(CGD 4509-94253-2)
Pino Daniele 「Sotto 'o sole」(1991)
大ヒット曲「Quando」が入った素晴らしいアルバムです。この曲はその後、ネーリ・ペル・カーゾやマッシモ・ラニエーリらナポリ出身の歌手達も彼に敬意を表してカヴァーしました。7.「'O
ssaje comme fa 'o core」は遺作となった映画「イル・ポスティーノ」で日本でも有名になったナポリ出身の俳優マッシモ・トロイージが詞を書いています。翌92年、ピーノとマッシモ・トロイージは共同でビデオを製作し、発売しています。また、デビュー・アルバムに入っていた「Cammina
cammina」を再録しています。
(CGD 9031-76095-2)
Pino Daniele 「Terra mia」(1977)
デビュー・アルバム。プロデュースはクラウディオ・ポッジ。現在に比べるととてもシンプルでアコースティックなサウンドです。でも、彼の初期の作品を好む人は日本にも大勢います。タイトル曲7.「Terra
mia(私の祖国)」や、1.「Napule e(ナポリは)」などはイタリアのみならず日本の愛好者にも人気の曲です。「Napule
é」はイタリアの他の歌手もよくカヴァーしています。もちろん、ピーノの歌が一番良いですが...
(EMI 0777 7 46791 2 1)