バイオグラフィー
1961年ローマ生まれ。ジャズが好きだったという父親に連れられて子供の頃からライヴ・ハウスに通い、やがてギター、ピアノ、作曲を習得。ビートルズ、ボブ・ディラン、ジェームズ・テイラー、スティービー・ワンダー、ルーチォ・バッティスティの音楽を主に聴いていました。
1980年のカストロカーロ新人コンテストで優勝。翌81年、サンレモ音楽祭に初出場し、「Roma
spogliata」で入賞し、シェル・シャピーロがプロデュースしたデビュー・アルバム「Luca
Barbarossa」を発売。リッカルド・コッチァンテのツアーに参加しています。しばらくのブランクの後、1986年のサンレモで「Via
Margutta」を歌い、入賞。サンレモには翌87年も出場し、「Come dentro un film」で入賞して、同名のセカンド・アルバムを発売。1988年もサンレモに出場し、「L'amore
rubato」で3位入賞。この歌は実際に起きた婦女暴行殺害事件をテーマにしたもので、彼はこうした社会問題を取り上げた曲を数多く歌っています。そして、サード・アルバム「Non
tutti gli uomini」を発売。89年4枚目のアルバム「Al di la del muro」を発売。1992年サンレモでは「Portami
a ballare」で優勝して、アルバム「Cuore d'acciaio」を発売しています。1993年最初のライヴ・アルバム「Vivo」を発売。以後1994年「Le
cose da salvare」、1996年「Sotto lo stesso cielo」とアルバムを発売して活動中。
アルバム紹介
Luca Barbarossa 「Vivo」 (1993)
初のライヴ・アルバムと同時に発売されたビデオ・カセットで、CDとまったく同内容です。ロベルト・コスタのプロデュース。3.「Via
Margutta」、6.「Come dentro un film」、10.「L'amore rubato」、11.「Al di
la del muro」、12.「Portami a ballare」、14.「Roma spogliata」などの代表曲のほか、前項で私がおすすめした4.「Andare
avanti」、5.「Senza amore」、13.「Cuore d'acciaio」などが入っているのがうれしい。収録時間は約70分。彼の作品はライヴで聴くとそのよさがはっきりしてくる感じがします。ただ、衣装に凝ったり(イタリアの若手歌手の多くがシャツにジーパンという格好である)、踊ったりするような派手さはないのでビデオでみるよりかはCDの方がいいかも。
(ビデオ・SMV 200499-2、CD COLUMBIA 473719 2)
Luca Barbarossa 「Cuore d'acciaio」 (1992)
上述のように彼は1992年サンレモで2.「Portami a ballare」を歌って優勝しました。ピアノを中心としたシンプルなアレンジのこの曲はとても地味な感じはしますが、母親に対して「踊りに連れていってよ」と歌う詞の内容がイタリア人女性に受けたのでしょう。88・89年作のアルバムは未聴ですが、本作はおそらく彼の最高作ではないかと思います。オープニングのタイトル曲1.、6.「Andare
avanti」、8.「Senza amore」などが私のおすすめです。ジャケットのデザインもいい。
(COLUMBIA COL 471378 2)
Luca Barbarossa 「Non tutti gli uomini」(1988)
現在はロック色が強くなったルーカ・バルバロッサですが、この頃は本当に美しいポップス作品を多数書いていました。本作はフィオレッラ・マンノイアがバック・ヴォーカルを務めるという豪華な曲1.「Quartiere」で幕を開けます。タイトル曲2.はバラード曲。以下ポップな曲とバラードとがほぼ交互に配されて、心地のよいアルバムとなっています。7.「L'amore rubato」は上述のように1988年サンレモ音楽祭3位入賞曲で、実際に起きた婦女暴行殺害事件をテーマにした作品で、詞の内容・メロディー共に感動的な作品です。8.「Vivo」は後にライヴ・アルバムのタイトルともなるポップな曲。ラストはバラードの9.「Il tuo giorno」で締めくくられています。 (CBS 460803 2)
Luca Barbarossa 「Come dentro un film」(1987)
セカンド・アルバム。1.「Alba(夜明け)」がオープニングで、エンディング10.はそれに対して「Tramonto(黄昏)」。その2編の小曲に8曲がサンドイッチされています。アレンジは7.「Amore
come stai」がマウリツィオ・ティレッリ、他は4.「Intanto la radio」がティレッリとアントニオ・コッジォ。他の8曲はすべてコッジォが担当しています。コッジォ、ティレッリとステファノ・セネージのピアノ、キーボードが美しいバラード・ナンバーが中心。バルバロッサは近年のイタリアン・ポップス歌手の多くがしゃがれ声という中にあって珍しく澄んだ声をしています。ギターを弾きながら歌う普通っぽい青年というイメージ。サンレモ曲の「Via
Margutta」(1986)、「Come dentro un film」(1987)を収録しています。今ほどロック色が濃くなくて聴きやすいアルバム。電子的なパーカッションが80年代だなー、という感じですが...
(CBS 450210 2)