バイオグラフィー
1949年7月21日南イタリアサンタ・マリア・ディ・レウカ岬近くの生まれ。
ローマのカーサ・デッロ・ストゥデンテで工学の勉強をするかたわら音楽活動を行い、1972年カストロカーロ新人コンテストに出場。ミーナヤイヴァ・ザニッキを擁するRI-FIレコードと契約。ヴェネツィア音楽祭ではアリーチェ、アントネッロ・ヴェンディッティといった大型ライバル新人と争って見事「銀のゴンドラ」に輝きました。1973年デビュー・アルバム「Se
di c'è l'amore」を発売。1974年、サンレモ音楽祭に初出場して「Fiume
grande(流れ去った青春)」を歌い選外となったものの高い評価を受けました。同曲はフランス語、スペイン語のヴァージョンも製作されてヒットしています。そしてセカンド・アルバム「La
notte mi vuole bene」を発売。1976年のアルバム「Il poeta con la chitarra」から「Tu...e
così' sia」がヒット。1977年のヴェネツィア音楽祭で「金のゴンドラ」に輝きました。また、そのアルバムにはジーノ・パオーリのヒット曲でミーナも歌っていて日本でもおなじみの「Il cielo in una stanza(しあわせがいっぱい)」が収められていて、翌1977年にシングル・カットされて、1978年に再びヴェネツィア音楽祭「金のゴンドラ」に輝きました。アルバム「Il
poeta con la chitarra」は日本でもLPが発売されています。
若手カンタウトーレとして期待されていましたが、その活動は割と地味で、以後アルバムは「Respiro」(1977)、「Paesaggio」(1978)、「Franco
Simone」(1979)、「Racconto a due colori」(1980)、「Gente che conosco」(1982)、「Camper」(1984)、「Il
pazzo,lo zingaro,ed altri amici」(1986)、「Totò」(1989)、「Vocepiano-Dizionario
dei sentimenti」(1990)、「Venti d'amore(新曲1曲と既発表曲の再録音盤)」(1995)、「Una
storia lunga una canzone」(1996)、「Notturno fiorentino」(1998・「Una storia
lunga una canzone」にマリア・カルタとのデュエット曲などの未発表曲を加えた海外向け盤)と発売していますが、大きなヒットには結びついていません。しかし、ぽつぽつと出しているアルバムはなかなか味があっていいものがあります。
アルバム紹介
Franco Simone 「La città del sole」 (2001)
2001年、イタリアン・ポップス界は、エスニック・ブームなのでしょうか。サンレモ参加曲の中にもエスニック調の曲があるようですが、本作もギリシャのNikos
Papakostasのオーケストラがバックを務めています。ブズーキなどの民族楽器を用いたギリシャならではのアレンジがなされていて、既発表曲の3.「Navigando」、6.「Notturno
fiorentino」も再録音されました。その他の曲は大半がフランコ・シモーネとNikos
Papakostasとの共作による新作となっています。8.「Ti doveresti vedere dopo」はイヴァ・ザニッキが参加。
(CGL east west 253750053-2)
Franco Simone 「Una storia lunga una canzone」 (1996)
フランコ・シモーネ自身と、フォルムラ3のアルベルト・ラディウスとの共同プロデュース、ラディウスとステファノ・プレヴィスティによるアレンジのアルバムです。1.タイトル曲などはラディウスのギターのフレーズが間奏に入り、明らかに下記の「Totò」の収録曲とは違ったタイプの曲だと感じられます。3.「Pane」ではソプラノ歌手のアドリアーナ・マリポンテがゲスト参加。アコースティックギターとオーケストラの演奏が印象的なバラード曲4.「In
un minuto」、6.「Notturno fiorentino」やブラジルのミルトン・ナシメントの曲にフランコ自身のイタリア語訳詞がついた5.「I
balli della vita(Nos bailes da vida)」、サルヴァトーレ・ディ・ジャコモのナポリ語の詞にフランコが曲を付けた8.「Pianefforte
'e notte」など曲が粒ぞろいでいいものばかり。エンディング10.ではバッハの「Ave
Maria」が歌われています。
(FONIT CETRA CDL 410)
Franco Simone 「Totò」 (1989)
フランコ・シモーネのアルバムはあまりCD化されていなくて、私はここに紹介した2枚と、あとはベスト盤CDしか持っていません。いい曲を書くし、声もキーの高い独特のもので私も好きなカンタウトーレのひとりなのですが、大ヒットに恵まれず、同情してしまいます。本作のタイトル「Totò」ですが、ナポリ出身の喜劇俳優(本名アントニオ・デ・クルティス)のことで、いわば「イタリアのチャップリン」とでも言うべき国民的俳優だった人です。有名なナポレターナ「Malafemmena(悪い女)」は彼の書いた作品で、現代でもファウスト・レアーリなどが歌っていますが、フランコ・シモーネも本作5.で取り上げています。ポップな作品が多い中で、そのトトーのことを歌ったタイトル曲3.や2.「Desiderio」などシブーイ感じで特におすすめ。
(FONIT CETRA CDL 233)