バイオグラフィー
2000年のサンレモ音楽祭で優勝し、俄然注目を浴びることとなった異色のグループ。ジャズとロックと民族音楽を融合した無国籍風の不思議なサウンドが特徴。ヴォーカルを務めるのはPeppe
Servillo(ペッペ・セルヴィッロ)。他のメンバーはピアノ、キーボード、アコーディオン他のMario
Tronco(マリオ・トロンコ)、サックス、アコーディオン、キーボード他のPeppe
D'Argenzio(ペッペ・ダルジェンツィオ)、ギターのFausto Mesolella(ファウスト・メゾレッラ)、ドラムスMimì
Ciaramella(ミミ・チャラメッラ)、ベースのFerruccio Spinetti(フェルッチョ・スピネッティ)。
1980年、イタリアン・ロックのニュー・ウェーブとしてメンバーが集まり、結成。1987年、サンレモ・ロック・フェスティヴァルで優勝。92年、アルバム「Bellosguardo」発売。この時のプロデュースはリッリ・グレコという人で、彼はパオロ・コンテ、フランチェスコ・デ・グレゴーリ、アントネッロ・ヴェンディッティ、ジァンニ・モランディらの作品にも協力しています。1993年、カテリーナ・カゼッリと出会い、シュガー・レーベルと契約。アルバム「Oppla」を発売。1995年アルバム「Finalmente fiori」発売。同年、俳優のFabrizio Bentivoglio(ファブリツィオ・ベンティヴォリオ)とミュージカル「La guerra vista dalla luna」の公演をローマのパリオーリ劇場を皮切りに公演。翌96年同ミュージカルのCDを発売。同年秋レナート・デ・マリア監督の映画「Hotel paura」のサントラを担当。97年ライヴ・アルバム「Vivo di canzoni」を発売。夏にはイタリアのほかフランス、ポルトガル、ルクセンブルク、ドイツでコンサートを行い、カセルタで生まれたバンドはすでに多くのファンを得ました。
1998年、初めてサンレモ音楽祭に出場。「Dormi e sogna」で批評家賞などを受賞。アレンジのペッペ・ヴェッシッキォも最優秀編曲賞を受賞しています。サンレモの後アルバム「Vivo di canzoni」に「Dormi e sogna」を追加収録して発売。
1999年カエターノ・ヴェローゾやマリーザ・モンチらを手掛けたことのあるブラジル系ニューヨーカーのArto Lindsay(アート・リンゼー)のプロデュースのもとに製作したアルバム「Cirano」を発売。ドイツ、オーストリア、スイス、ベルギー、オランダ、スペインの各国でもリリースされています。同年ファブリツィオ・ベンティヴォリオの演出の短編劇のサントラを担当。
2000年第50回の記念すべきサンレモ音楽祭では「Sentimenti」で見事優勝。ベスト・アルバム「Selezione 1990/2000」が発売されています。
アルバム紹介
Piccola Orchestra Avion Travel 「Storie d'amore」 (2000)
2000年のサンレモ音楽祭で優勝し、ベスト盤を発売したアヴィォン・トラヴェルですが、暮れになって発売された本作はカヴァー集です。しかも、取り上げている曲が意外で、いきなりイタリア系フランス人歌手で日本でもお馴染みのアダモが歌った1.「La
notte(La nuit)(夜のメロディー)」から始まり、ナーダが歌った1969年サンレモ音楽祭入賞曲2.「Ma
che freddo fa(なんて寒い)」、3.ドメニコ・モドゥーニョの「Lu minaturi」と、古い年代の曲が続きます。4.は彼らの所属するSugarレーベルの社長であり、本作のプロジェクト・リーダーでもあるカテリーナ・カゼッリに敬意を表してか「Insieme
a te non ci sto più」を取り上げていて、この曲ってこんな歌い方もあるんだなーって、感心させられました。ギターを中心にしたアコースティックなアレンジで、アラブ風の雰囲気などを随所に用いたサウンドが印象的です。他にはルーチォ・ダッラの5.「Il
cielo」、アントニオ・カルロス・ジョビン作曲による名曲「How insensitive」のイタリア語盤6.「Che
senso ha」、ナポレターナの名曲7.「Canzone appassionata(情熱の歌)」、カテリーナ・ヴァレンテのヒット曲8.「La
metà di me」、ジァンニ・モランディの9.「Sono contento perché la
mamma...」をカヴァーしています。ラストの10.「Non è successo niente」のみオリジナル曲となっています。カヴァーといっても、それらすべての曲がすっかり彼らの世界にはまってしまっているところがすごいと思います。
(Sugar 300 745 2)
Piccola Orchestra Avion Travel 「Vivo di canzoni」 (1997)
1997年発表のライヴ・アルバムで、1998年のサンレモ出場後入賞曲の1.「Dormi
e sogna」を追加収録して再発されました。ライヴは小さなホールにおける1996年の録音で、ペッペ・ヴェッシッキォがアレンジを担当した1.のようなエスニックなアレンジではなく、ジャズのエッセンスを採り入れたアコースティックなものとなっています。オリジナル曲以外にもアドリアーノ・チェレンターノの5.「Storia
d'amore」、ドメニコ・モドゥーニョの11.「Cosa sono le nuvole」などのカヴァーもしています。彼等が日の目を浴びるようになる前の活動を知る上で貴重なライヴ録音だと思います。
(Sugar SGR D 77816)
Piccola Orchestra Avion Travel 「Finalmente fiori」 (1995)
最近では1998年サンレモ入賞曲「Dormi e sogna」のビデオ・クリップがNHKテレビ「イタリア語会話」でも紹介されて日本でも話題のグループであるアヴィォン・トラヴェルですが、95年の本作あたりはまたまだ知名度は低くて買われた方は少ないはず。「Dormi
e sogna」の強烈な印象度から比べると比較的おとなしいアルバムです。全14曲のうち6.「Il
rumore del cuore」、10.「Il duello」、14.「L'Ostinata」の3曲はインストで、うち6.は上述のローマ・パリオーリ劇場でのミュージカル「La
guerra vista dalla luna」からのライヴ録音です。
(Sugar RTI MUSIC SGR 4425-2)