アルバム紹介
Colonna sonora 「Saturno contro」 (2007)
トルコ人のフェルザン・オズペテク(Ferzan Ozpetek)監督の作品「Saturno contro」は「対角に土星」の邦題で、2008年のイタリア映画祭でも上映されました。
オズペテク監督は、「無邪気な妖精たち(Le fate ignoranti )」、「向かいの窓(La finestra di fronte)」、「聖なる心(Cuore
sacro)」と、イタリア映画祭でもお馴染みの監督で、この作品もマルゲリータ・ブイ(Margherita Buy)、ピエールフランチェスコ・ファヴィーノ(Pierfrancesco
Favino)、ステファノ・アッコルシ(Stefano Accorsi)といったスター俳優を起用、40歳前後の友人たちによる群像劇である点、そして中心人物がゲイである点は「無邪気な妖精たち」とも共通しています。かつてのアイドル歌手・タレント、アンブラ・アンジォリーニ(Ambra
Angiolini)がダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞助演女優賞を受賞しているという点も注目です。
そして、この映画の音楽担当はポップス界で活躍するNeffa(ネッファ)。ネッファは、本名をジォヴァンニ・ペッリーノ(Giovanni Pellino)といい、1967年ナポリ近郊生まれ。ラップ、ダンス・ミュージックといった路線で活躍し、2004年のサンレモ音楽祭ではジャズィーな曲「Le
ore piccole」を歌うなど、ひと言で彼のジャンルを言い表せないアーティストという印象でした。そんな彼がが音楽を担当しているというのは正直驚きました。
1はエンディングに使われている曲で、ネッファのヴォーカルによるアコースティックな作品。この曲のビデオ・クリップは動画サイトなどで見ることができますが、映画の俳優たちが総出演し、楽しい作品です。ソフィア・ローレンが歌う3は英語の曲。4はテーマ曲「Passione」のインストで、バンドネオンを用いた印象的なアレンジです。5は、作者にトルコのベテラン女性歌手セゼン・アクス(Sezen Aksu)の名がクレジットされていますので、トルコの曲だと思うのですが、歌っている女性歌手Isin Karakaについては詳細は不明です。哀愁を帯びた曲です。7のカブリエッラ・フェッリの曲はイタリア標準語ではないのですが、やはりローマ方言の曲なのでしょうか。10のNil Karaibrahimgilはトルコの女性歌手の曲のようです。名前は何と読むのかわかりません。インストの11に続くはカルメン・コンソリ(Carmen Consoli)が歌う曲で、こちらのオリジナルはセルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)。この曲はジェーン・バーキン(Jane Birkin)やFrance
gall(フランス・ギャル)など、ゲンズブールゆかりの女性歌手にも歌われており、有名な曲のようです。カルメン・コンソリのフランス語もなかなかです。そしてラストは1のタンゴ・アレンジによる別ヴァージョンとなっています。
このサントラでのネッファの音楽は全体的にバンドネオンを多用した哀愁ある曲が多く、ポップス・ファンにも聴きやすいと思います。
1.Passione / Neffa 2.Ad un passo dal mare 3.Zoo Be Zoo Be Zoo / Sofia
Loren 4.Le rose e la pietra 5.Bitmenis tango / Isin Karaka
6.Il quadro 7.Remedios / Gabriella Ferri 8.Tema dei pianeti
9.Attesa 10.Pirlanta / Nil Karaibrahimgil 11.Tema dei
pianeti (parte 2) 12.Je suis venue te dire que je m'en vais/ Carmen
Consoli 13.Passione (tango-beguine) / Neffa
(RCA 88697070272)